(1)無線ネットワーク

無線LANや携帯電話など、無線ネットワークは現代では欠かせない技術となっています。無線ネットワークの研究では、無線LANのプロトコル(メディアアクセス方式、ルーティング方式など)、無線ネットワークのセキュリティ、無線ネットワークの応用について研究しています。この研究室では、モバイルアドホックネットワーク(MANET)という基地局を前提としない端末のみで構成されるネットワークの研究を行っています。MANETでは、送信元から宛先まで直接電波が届かない場合、途中の端末がパケットを中継します。しかし、MANETでは端末が移動して通信リンクが動的に切れたり繋がったりするため、パケットの配送経路を効率よく見つける方法(ルーティングプロトコル)が必要となります。この研究室では、MANETのルーティングプロトコルの研究を行っています。

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(2)モバイルコンピューティング

携帯端末やウェアラブル端末(スマートウォッチやスマートグラス)の利用者が増えています。携帯端末等には、加速度センサや磁気センサ、歩行センサや照度センサ、心拍センサや血中酸素センサなどの各種センサがあり、それらのセンサデータに基づくアプリケーションが開発されています。モバイルコンピューティングでは、携帯端末等でどのようにデータを取得し、処理し、蓄積するかを研究します。携帯端末等には電力や計算力、メモリ容量や二次記憶容量、通信性能などに制限があることが多く、その状況を考慮したアルゴリズムの研究が必要となっています。この研究室では、加速度センサや磁気センサ、歩行センサやBluetooth、心拍センサーや血中酸素濃度センサを使った利用者の行動分析、混雑度推定、ストレス推定、睡眠時無呼吸症候群検知などの研究を行っています。

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(3)ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)

ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)は、車と道路、歩行者などとの情報交換によって、危険を回避したり、渋滞問題や環境問題を改善するためのシステムについての世界的な研究プロジェクトです。車同士の通信には、アドホックネットワークの技術が使われており、それはVANET(Vehicular ad hoc networks)と呼ばれています。VANETは、移動速度が速い車両をノードとしてパケットを配送するためのプロトコルです。この研究室では、VANETのルーティングプロトコルの研究を行っています。また、渋滞問題の緩和には交通流制御がその対策の一つになります。どのような車間距離や加減速をすれば渋滞が緩和できるかについて、シミュレーションによる評価を行っています。

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(4)位置推定とその応用

位置情報は、様々なアプリケーションに利用されています。例えば、カーナビ、「ポケモンGo」、Google Map、タクシー配車システム、バスロケーションシステム、などです。屋外では、GPS(Global Positioning System)が有効な測位技術です。しかし、屋内ではGPSの電波が届かないため測位には、屋内用の技術が提案されています。無線LANのアクセスポイントを使った方式、Bluetoothのタグ(iビーコンなど)を使った方式、超音波を使った方式、AR(拡張現実)用のマーカを使った方式などがあります。この研究室では、屋内位置情報を検出する様々な方法について研究しています。また、位置情報を応用した屋内ナビゲーションシステムや、電動車いすの自動運転、車両密度などの計算そして交通流制御に関する研究を行っています。

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(5)ネットワークセキュリティ、匿名性

コンピュータネットワークにはウィルスや不正アクセスなど様々な脅威があり、暗号や認証、秘密分散などの技術によってその脅威からネットワークやコンピュータなどの資源を守ることがネットワークセキュリティです。この研究室では、「秘密計算」というアルゴリズムで他人に情報を渡すことなく計算だけを実行してもらう手法を研究しています。普通は、暗号化されたデータをサーバで計算してもらうためには、サーバ内で一度復号して元のデータにして計算したあと、計算結果をまた暗号化してクライアントに返すことが行われますが、復号した時点で情報が洩れる可能性があります。しかし、秘密計算ではサーバは暗号したものをそのまま計算して結果をクライアントに返し、クライアントはその結果を復号して計算結果を得ることができます。従って、元のデータが復号される機会がないため、情報漏洩が不可能となります。また、情報が漏洩しても、個人が特定できないように情報を加工することを「匿名化」といいます。個人の氏名や住所、位置情報、購買履歴やアクセス履歴、病歴などプライバシーに関わる情報は、漏洩しないように管理する必要があります。しかし、一方で位置情報や病気の治療の過程など、個人が特定されない場合は多くの人にとって有用な情報もあります。有用性とプライバシー保護はトレードオフの関係にあり、プライバシーが保護された状態でできるだけ有用な情報を得られるように、匿名化を行うことが求められています。そのための匿名化手法には様々な方式があり、この研究室でも位置情報の匿名化の研究を行っています。

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